2025年2月のKCG定例セミナー講師は、アンカーウーマン⾦澤株式会社株式会社の髙⽊ 眞澄(たかぎ ますみ)さんです。
髙木さんは、国家資格キャリアコンサルタントとして北陸地方を中心に活躍する専門家。
40歳で専業主婦から社会復帰し、15年以上の人材サービス業界での経験を経て、アンカーウーマン金澤株式会社を設立。
月に約100人、年間1,200人以上の社員と向き合い、「人が主役の実のある働き方改革」を推進し、企業と働く人々の橋渡し役に。
2025年2月のKCG定例会では、中小企業における人財育成の重要性と実践法について熱く語っていただきました。
中小企業が抱える「人」の課題とは?
中小企業では、人材不足や離職率の高さ、ハラスメント問題、メンタル不調など、「人」に関する課題が後回しにされがちです。
特に30人規模の企業では、これらの問題が経営全体に与える影響が大きいにもかかわらず、適切な対応策が取られていないケースが少なくありません。
髙木さんは、「経営者は社員が何を考えているかを知らないことが多い」と指摘します。
例えば、社員が目標を持てない、役割や評価基準が曖昧だと感じている場合、それがモチベーション低下や離職につながることもあります。
こうした課題への第一歩は、「社員一人ひとりの声を聴くこと」だと言います。
髙木さんは、総合人材サービス会社での法人営業、人材コンサルティング、キャリアアドバイザーなどの経験から、
「風通しの良い職場を創るためには、企業・組織の改革と人の意識・行動の参画をバランスよくトータルデザインする必要がある」と強調します。
キャリア面談という「場」の力
髙木さんが提供するキャリア面談は、社員自身の「気づき」を促す場として機能しています。
この面談には以下のような特徴があります。
- 気づきを得る:社員自身が自分の課題や可能性に気づく。
- 思考の癖から脱却:固定観念や思い込みから解放される。
- 創造的な発想:新たな行動やアイデアにつながる発想を得る。
特に重要なのは、「オープンな質問」を通じて社員自身に考えさせるアプローチとのことです。
「どうすれば状況を改善できるか」「自分には何ができるか」といった問いかけによって、自律的な行動変容を促進。
また、外部専門家である髙木さんだからこそ話せる内容も多く、その安心感が面談成功の鍵となっています。
髙木さんは「キャリアとは個人の生き方そのもの」という理念のもと、一人ひとりの状況に合わせたコンサルティングを行っています。
この姿勢が、多くの企業や個人から信頼を得ている理由の一つでしょう。
現場の声を経営者へ届ける仕組み
キャリア面談で得た情報は、経営者へのフィードバックとして活用されます。
この過程で重要なのは、「見えている課題(業績低迷など)」だけでなく、「見えない部分(社員の感情や動機)」にも目を向けることです。
髙木さんは「氷山モデル」を用いて説明しました。
表面的な問題(離職率や業績低迷)の下には、人間関係やモチベーション不足といった隠れた要因があります。
これらを掘り下げて改善することで、組織全体が前向きに変化していきます。
「社員一人ひとりの声を聴くことで、経営者もまた新たな視点を得られる」と髙木さんは語ります。
アンカーウーマン金澤では、こうした「聴く」プロセスを大切にしながら、企業と働く人々の双方にとって価値ある変化を生み出すことを目指しています。
髙木さんの多岐にわたる取引企業、様々な業界での人材支援が、この取り組みの説得力を高めています。
成功事例から学ぶ人財育成の効果
講演では、中小企業で実際に行われた成功事例も紹介されました。
- A社: 社員から不満ばかり聞かれていた次期社長がキャリア面談を通じて社員と向き合うようになり、不満が減少。業績も右肩上がりとなりました。
- B社: 技術職の大量離職問題に直面した会社が、人材育成に真剣に取り組むことで社内環境を改善し、離職率低下につながりました。
- C社: 数字のみで評価していた体制から、人材育成重視へ転換し、「次世代リーダー育成」を掲げた戦略で成果を上げました。
これらの事例は、人材育成が経営戦略そのものとなり得ることを示しています。
髙木さんは、アンカーウーマン金澤のウェブサイトでも派遣社員キャリアアップ研修や障害者就職応援セミナーなど、様々な取り組みの事例を紹介しています。
こうした幅広い活動が、人材育成の多様な可能性を示しているのです。
人財育成は経営戦略そのもの
髙木さんは、「人財育成こそが経営戦略」と繰り返し述べました。
社員一人ひとりが自律的に行動し、自分自身や組織全体の目標達成に向けて動けるようになることで、業績向上につながります。
また、このプロセスには時間と労力が必要ですが、その先には確実な成果があります。
「まずは『聴く』ことから始めてみませんか?」という髙木さんの言葉には、多くの参加者が共感していました。
中小企業において、人材育成は単なるコストではなく投資です。
髙木さんの講演から学べることは、「社員一人ひとりの声」を経営資源として活用する重要性です。
その声こそが未来への原動力となり、自律的な組織作りにつながり、ひいては企業収益にもつながっていきます。
「働き方改革」が叫ばれる現代、中小企業こそ「聴く力」を武器に変革へ挑むべき時代なのではないでしょうか。
今月も定例会後に懇親会を開催いたしました。その一幕をご紹介いたします。
この記事へのコメントはありません。