2023年4月定例セミナー 著作権の基本の「キ」 永來宏隆さん

2023年4月のKCG定例セミナー講師は、弁護士の永來宏隆(えいらいひろたか)さんです。
永來さんは、大阪生まれの奈良育ちですが、金沢で弁護士として活躍していらっしゃいます。
今年2023年には、弁理士登録も行う考えもあるそうです。
今年ご結婚されて公私共に順風満帆の永來さんに、著作権についての講義していただきました。

 

著作権とは「著作物を独占的に利用することができる権利」

著作権者でない者が「著作物」を「利用」すると、著作権侵害になります。侵害となった場合は、以下のいずれかになることが多いです。

  • 損害賠償請求
  • 差し止め(著作権侵害品の廃棄)

著作権は著作物の類似物にも適用されますが、依拠性も必要となります。

今回のセミナーでは、当時とても話題になった「リエージュ劇場のロゴ」と「東京オリンピックのロゴ(初代)」を例に出して説明されました。
これらのロゴは、縦棒と三角のような形を同じような位置関係で組み合わせたという点では似ています。
しかし、あまりにもありふれたものであり、独占的に利用できることにすると社会的に不便が生じそうです。
また、これ以外に円の要素もありますが、場所や大きさが異なり、使い方としても違います。
さらに、ロゴ全体の形状が丸と四角で印象が大きく異なります。
そのため、著作権侵害とは認められない例になります。
(当時は「似ている」と騒ぎになったため、使用を中止したという経緯でした。)

では、保護される「著作物」とはどのようなものなのでしょうか。

 

著作物とは思想または感情を創作的に表現したもの

創作的な表現というのがポイントで、以下のようなものは著作物にならないようです。

  • ありふれた表現(よくあるもの)
  • アイディア(表現されていない)
  • 事実やデータ(データを整形したグラフなどは表現になるため、著作物となることもある)

特に、「アイディア」と「表現」の区別は曖昧で専門家でも意見が分かれることが多いようです。

また、事実やデータは著作物になりませんが、事実を伝える新聞記事などは著作物にあたるのは注意が必要です。
自分や自社のことが書かれた新聞記事だからと言って、安易にホームページなどにアップロードすると著作権侵害となる恐れがあります。
新聞記事を載せたい場合は、「引用」する形で掲載すると良いようです。
(「引用」と認められるためにも、いくつか条件があるので注意しましょう。)

 

独占的に利用できる、といってもあらゆる利用を独占できるわけではない

独占できる利用とは、以下のようなものです。(これらを著作権者の許可なく行ってはいけない)

  • 複製
  • 公の場での演奏・上演
  • 公衆送信・公衆送信可能化(無断アップロードなど)
  • 公の場での口述
  • 公の場での上映

そのため、「私的使用」や「引用」などの場合は、著作物の利用が認められます。
ただし、認められるためには、いくつかの条件があります。

 

AIが生成した画像の著作権者は誰?

最近話題となっているAIによる画像生成。
簡単なワードを入力することでAIが画像を生成してくれるというものです。
このように生成された画像の著作権者は誰になるのでしょうか?
ワードを入力(画像生成を指示)した人でしょうか? AI自身でしょうか? AIを作ったプログラマでしょうか?

現在は著作権者はいないとされています。
しかし、AIが画像を生成できるようになるためには、様々な画像を学習してモデル化して保有していることが必要となります。
学習に用いた画像の著作権は侵害していないのでしょうか。
今後の法整備が注目されています。

 

今回は、永來さんに著作権について実例を交えて詳しく説明していただきました。
リスクを十分考慮して、著作権とうまく付き合っていきましょう。

どうしてもわからない場合は、永來さんに相談してみてはいかがでしょうか。

 

懇親会は、ひかりや で

4月度の懇親会は、近江町の「ひかりや」で行いました。
懇親会の様子をご覧ください。

 

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