2023年12月定例セミナー 「どうする織田聡」 織田聡さん

2023年12月のKCG定例セミナー講師は、株式会社金澤茶舗 代表取締役の織田聡(おだ そう)さんです。
織田さんは、日本茶と茶道具の専門店「上林茶舗」を運営し、お茶を嗜む生活・文化の広がりを目指し、日夜活動しています。
その活動は、お茶の栽培から加工・焙煎、そして販売に至るまで多岐にわたります。

今回は、織田さん自身がお茶屋としてどのように道を切り開いてきたか、そして、お茶を嗜むヒントについて語っていただきました。

 

お茶屋を目指したきっかけはオーストラリア

織田さんは祖父の代から金沢でお茶屋を営む家に生まれました。
しかし、身近にお茶がある生活ではあるものの、子供の頃からお茶を仕事にしようと思っていたわけではありません。

転機になったのは、高校生のとき。
なんと織田さんは通っていた高校を1年あまりでやめることとなります。
子供の頃から英語を習っていた織田さんは、オーストラリアの学校へ行くことにしました。
オーストラリアでは、16歳から車に乗れるということもあり、楽しんで生活していたとのことです。
ところが、日本らしさや日本の文化を伝えることができないというもどかしさも同時に感じていました。
オーストラリアでの生活を終えた織田さんは、日本の大学を卒業し、京都の上林春松本店で4年間の修行をします。
その後、実家の上林金沢茶舗に戻り、お茶屋としての仕事を始めました。

 

工場立ち上げに挑戦するが、作ったお茶が売れない?

お茶屋としての仕事を始めた織田さんは、あるとき自社焙煎工場を建設します。
ものづくり補助金を活用して、工場内に設置する遠赤外線の火入れ機などの設備を導入。
立派な工場ができあがり、高品質を実現できるようになりました。
しかし、「お茶が売れない」という大きな壁が立ちはだかります。

当初は新幹線が開通すればなんとかなるだろう…と見込んでいましたが、何ともならない。
どうしようもないのか、と行き詰まったところで、様々な企業やキャラクターとのコラボが実現します。
糸口となったのは、スターバックスとのコラボ。
ワンダープロジェクト第1弾として、加賀棒ほうじ茶が取り上げられます。
今でも、スターバックスリザーブで販売されているそうです。
他にも、有名キャラクターとのコラボが実現し、徐々に売れ始めます。

様々な事業者ともコラボすることで、お茶の、そして上林金沢茶舗の魅力を高めています。

 

のとじま茶園に挑戦 休耕地を茶畑に

株式会社金澤茶舗では、これまで加賀で紅茶生産を行うことをやってきました。
これを能登でも行ったのが、のとじま茶園です。
休耕地に重機を入れて平らにし、地域のシルバー人材に様々な作業をお願いして何とか茶畑にしました。

この茶畑で生産された茶葉は、パッケージにもこだわり「能登島紅茶いやひめ」として販売されています。

 

アフターコロナを見据えた店舗戦略

現在、エムザ1階には喫茶スペースを備えた上林金沢茶舗の店舗があります。
この店舗は、コロナで客がめっきり減ってしまったコロナ禍に作られたものです。
以前の店舗はエムザの地下にあり、喫茶スペースがありませんでした。
コロナ後を見据えて、現在の場所へ移動しました。
この時の資金は、コロナ禍で新設された補助金を活用しています。

織田さんは、補助金について次のように語ります。
補助金ありきで計画を立てると危険。
自己資金がない中で補助金が得られても、その先のビジョンや維持費について考えていなければ、逆に苦しむことになります。
全て自分・自社でやるつもりで、もし補助金が受けられたらラッキー、と思うくらいがちょうどいい。
とのことでした。

現在は、新社屋を建設中です。
新社屋が完成すれば、事務所が店舗から移動して、店舗が広く使えるようになるそうです。
今後の店舗展開も楽しみですね。

 

お茶を楽しもう

お茶には様々な魅力があります。香りや味、リラックス効果などなど。
日本人はお茶との関わりが深く、お茶でないものにも「茶」がついていることがあります。
例えば、麦茶、昆布茶、ジャスミン茶はお茶ではありません。
ですが、「茶」がつくことで身近に感じやすくなっています。
逆に言えば、それだけお茶が身近な存在であるとも言えます。

お茶を楽しむときに必要なのが、お茶に適した保存方法。
例えば、次のような方法で保存すると、より長くお茶を楽しむことができます。

  • 高温多湿を避ける

  • 直射日光を避ける

  • 1ヶ月で飲み切れる量を(霜がつくと劣化します)

  • 夏場は冷蔵庫で保管(封を開ける前に常温で1日ほど置く)

お茶には様々な成分が含まれています。
カテキン(殺菌作用)、テアニン(リラックス効果)などが代表的です。

お茶にはたくさんの種類があります。
日本茶だけでも、玉露や煎茶、深蒸し茶、棒茶などなど、実にたくさんあります。
お茶を飲む目的や場面によって、お茶の種類を変えることでよりお茶を楽しむことができます。
例えば、加賀棒茶の特徴は香ばしい香りとすっきりした後味、そしてカフェインが少ないことです。
リラックスしたいときや寝る前に飲むとより楽しめると言えそうです。

このようにお茶を楽しむために、お茶を選ばなければなりません。
選び方・見極め方は様々ありますが、店員さんに好みを伝えるのが最も良いそうです。
普段飲んでいるお茶や、飲みたい場面、淹れる温度、といった情報を伝えると、適切なお茶を選んでくれます。

あなたにはどんなお茶があいますか。

 

懇親会

今月も定例会の後に懇親会を行いました。その一幕を紹介します。

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