10月のKCG定例セミナー講師は、キャリアコンサルタントの和田矩子(わだのりこ)さんです。
和田さんは、一般社団法人 障害者人材育成機構に所属し、リワークスクール「カラフル・金沢」などで就労を目指す障害者のキャリア支援をしています。
その傍ら、国家資格キャリアコンサルタントを目指す受験生をサポートするなど、その活動は多岐にわたっています。
今回のセミナーでは、障害者の就労についての熱い志とその活動を語っていただきました。
言葉の定義の重要性
セミナーのアイスブレイクとして、次のような例題を出していただきました。
流れ星 月 木 を自由に紙に描いてください
描かれたものは、皆さん何となく同じものを書いてはいましたが、細部が微妙に違います。
流れ星の流れる向きが違っていたり、月の満ち欠けが違っていたり、木の枝や葉の付き方が違っていたり…
同じ言葉を聞いても、聞く人によって認識するものが違っていて、それも言語化しないと正しく伝わりません。
正しく伝わったのか、認識が合っているか、何度も確認する必要があります。
相手が障害者となると、なおさらです。
発達障害の特徴
発達障害、と一口に言っても千差万別です。個性があるのと同様です。
よく言われている特徴は下のようなものがあります。
- 注意欠如・多動症 ADHD
- 自閉症スペクトラム症 ASD
- 限局性学習障害 SLD
これらの症状・障害が一つだけだったり、組み合わさっていたり、程度も様々です。
発達障害の方はルール通りできるという方が多く、行動力が抜群である方も多いです。
有名人では、坂本龍馬、モーツァルト、トーマス・エジソンなどが発達障害だったのではないか、と言われているそうです。
一方で、あいまいな表現は苦手で、「いい感じにして」や「あそこに置いて」などは理解しにくいとのことです。
このような抽象的な指示ではフリーズしてしまうこともあるそうです。
障害者の就労のために必要な「相互理解」
障害者から社会を見たときには、コミュニケーションや伝え方、受け入れてもらえるか?など、様々な不安があります。
一方で、受け入れる企業から障害者を見たときには、接し方はどうすればいいのか?どう配慮すればいいのか?何を悩んでいるのか?分からないことがとても多いです。
かといって、腫れ物に触るようなやり方では、お互いに気持ちよく働くことはできません。
そのため、障害者と企業の間には、相互理解が必要となるのです。
障害者が「障害者である」と開示しない就労よりも、開示した就労ほうが定着率が高くなります。(22%→42%)
障害者求人で就労したほうがさらに定着率が高くなる(61%)、というデータが出ています。
また、就労支援を受けることにより、定着率はさらに高くなります(70%)。
企業と障害者の相互理解、そしてチームによる就労支援が障害者就労のカギとなります。
これからの夢
和田さんが障害者就労支援に関係して感じている課題は、次の3つだと考えています。
- 障害者が自分らしく生きられる社会
- 格差のない社会
- 福祉で働く職員のやりがい
これは、SDGsの「8.働きがいも経済成長も」と「10.人や国の不平等をなくそう」に通じる課題です。
支援団体職員 – 利用者(障害者) – 会社(企業) – 福祉 – 社会 のつながりの根本から変えることで、社会を変えようとしています。
支援団体の職員が働きがいをもって、利用者(障害者)に支援ができれば、社会も変えられるでしょう。
このような障害者就労の取り組みや団体について世の中に発信するためにも、
カラフル・金沢では、著者 あまの さんの「ケッペキゲーマー」での取材協力を行っています。
ケッペキゲーマー (1) (ビッグコミックス)
誰も取り残さない社会を実現するための取り組みをする和田さんの熱い志に心打たれた10月度セミナーでした。
10月度セミナーは、前回の7月度から実に3ヶ月ぶりとなるセミナー開催でした。
新型コロナウィルス感染拡大に伴う、まん延防止等重点措置が石川県でも発令されていたことによる延期となっていました。
今後は、毎月の開催、懇親会の再開が行えればよいのですが…
感染防止には細心の注意を払って、生活をしていきましょう。
懇親会はありませんでしたが、セミナー終了後のわずかの時間で参加者同士の交流もありましたので、様子を紹介します。
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