2025年1月定例セミナー「当社の”新”LINE活用法」北星産業株式会社 直江成一郎

2025年1月のKCG定例セミナー講師は、北星産業株式会社のサービス責任者である直江成一郎さんです。
直江さんは、ガソリンスタンド業界の変革者として注目を集めています。
燃料需要の減少という業界課題に直面する中、直江さんはLINE公式アカウントを軸にした「顧客数」という新たな指標を導入。
商圏内への徹底的な地域密着戦略とユーザーフレンドリーな情報発信手法でデジタルプラットフォームの登録者数を飛躍的に拡大させました。
自然災害時には迅速な情報提供で地域インフラとしての信頼を確立し、若手社員主導で「移動支援プラットフォーム」への転換を推進。
EV充電ステーション整備や高齢者支援サービスなど、次世代に向けた価値創造に挑戦する姿は、業界の新たなモデルケースとして注目をされています。

ガソリンスタンド業界の岐路|デジタル変容と価値の再定義

業界全体が燃料需要の減少に直面しています。
自動車技術の進化による来店頻度の低下と環境政策の影響が背景にありますが、
他社が価格競争に終始する中で、北星産業はLINEを活用した「見えない資産」を作り上げました。
整備士を中心とした人的リソースを活かし、単なる燃料供給拠点から「移動に関わる総合ケアの拠点」へと進化を遂げつつあります。
従業員の3割を占める整備士が地域の「車の主治医」として信頼を獲得し、点検時にLINE登録を促す仕組みが功を奏しました。
デジタルツールと人的ネットワークを有機的に融合させることで、単なる販売戦略の変化ではなく、
業界のパラダイムシフトを示す事例として評価されています。

 

「情報の価値化」:顧客との信頼関係構築の鍵

2019年の燃料出荷量減少を契機に始まった改革は、社内の抵抗を乗り越える苦闘の連続でした。
「燃料屋がLINE?」との批判に直面しながらも、能登半島地震のとき、情報発信でその真価を証明します。
この鍵となったのは「情報の価値化」戦略です。
値上げ情報を生活に身近な例に置き換えて伝えるなど、緊急時の情報提供を優先することで信頼関係を構築しています。
例えばガソリン価格変動を「今週の卵価格」に例えた比喩表現が好評を博し、生活情報源となってきました。
「顧客の日常に溶け込む情報発信」の重要性をこの時の経験で身に沁み、
現在では週に1回、文言・デザイン・タイミングを改善するサイクルが定着しています。

 

超狭域マーケティング戦略|人的つながりの再構築術

3層構造のアプローチによって、商圏内における顧客獲得率を高めています。

第一に、画一的な広告を廃止し、スタッフ手作りのチラシを活用。

第二に、購買データと地域特性を連動させた需要予測システムを構築。
高齢者層には「LINE登録が難しい方は店頭で」と明記したチラシを配布し、対面登録率を大幅に向上させました。

これらの取り組みが相乗効果を発揮し、地域密着型ビジネスの新たな可能性を切り開いています。

 

情報伝達の革新|顧客目線のコミュニケーション設計

情報発信の支持率向上には「生活者目線の可視化革命」が決め手となりました。
テキスト中心からビジュアル重視のカードへの移行に加え、帰宅時間帯を狙った配信タイミングの最適化を実施。
重要なのは生活に直結する情報の優先配信で、値上げ情報をクーポンより先に伝える「逆転の発想」が功を奏しています。
ある60代の女性客は「スーパーの特売情報より先にガソリン値上げが届くので重宝している」と語り、
情報の信頼性が顧客ロイヤルティ向上に直結するようになってきています。
週次改善会議では「専門用語排除」「短文構成」「具体性重視」の3原則を徹底し、多世代が瞬時に理解できるメッセージ作成を追求しています。

 

次世代モビリティ時代の価値創造|生活支援プラットフォームへの進化

直江さんが描く未来像は、「エネルギー供給」から「移動の自由を支える総合サービス」への転換です。
これらの根底にあるのは「移動の自由を保障する」という考え方です。
登録者データを活用した需要予測では、燃料需要と生活必需品の配送需要に相関関係があることを見出しました。
ある店舗では週次で地域別のガソリン需要を予測し、効率的な商品配送ルートを構築しています。
地域に根ざした持続可能なビジネスモデルの構築を進めています。

 

持続可能な未来への挑戦

北星産業の取り組みは、デジタルツールと人的ネットワークの最適な融合が生み出す新たな価値創造モデルを示しています。
地域密着型ビジネスの核心である「顔の見える関係性」を基盤にしつつ、時代の変化に対応できる柔軟性を兼ね備えたプラットフォーム構築を推進。
若手社員主導で進むサービス革新は、企業と地域が共に歩む未来を目指す取り組みとして、今後も注目していきましょう。

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