2023年6月のKCG定例セミナー講師は、KCG代表を務める石井伸たろうさんです。
石井さんは、KCG代表であると当時に、石川県中小企業診断士会会長も勤めています。
今回は、KCGの設立に至るまでの挫折と成功、その経験から考えたことについて語っていただきました。
KCGのコンセプトは「全員が講師 全員が受講生」
会社などの組織では15年で1つの周期を迎えるというのが、石井代表の考えです。
KCG(カナザワコンサルティンググループ)は、今年で結成から15年。
ちょうど1つの周期を終え、今が踊り場となっています。
「これからKCGをどうしていくのか」を考える上で、KCGの設立当初の思いや経緯を皆で共有することは重要です。
6月から数回は、KCGの設立当初からのメンバーからその思いを語り、KCGと受講者のこれからを考えていただく、という趣旨で進めていきます。
KCGのコンセプトはズバリ「全員が講師 全員が受講生」
講師というのは、セミナーや講話などの講師だけを指すのではありません。
有名でなくとも、すごい知識や経験を持った人がいます。
たまたま隣の席になった、そんな関係から貴重な知識や経験談を聞けることもあります。
そんな関係も「全員が講師 全員が受講生」の1つの形として実践していくのが、KCGなのです。
とにかく社長になりたい!
石井さんは1952年生まれの71歳。
広島県福山市出身ですが、高校2年の時に石川県に転居しました。
その後、金沢大学工学部を卒業し、小松精錬(現在の小松マテーレ)に就職します。
若い頃は生意気で、とにかく社長になりたいという気持ちが強かったと言います。
その気持ちが強すぎたのか、2年で小松精錬を退社。
義兄が経営する会社に入社し、すぐに東京での販売研修を受けました。
主な商材は、マイク付きラジカセのCF1980II。
昼休みにカラオケをするなどのパフォーマンスをして売る手法が主でしたが、石井さんにはハマらず売れない日々が続きます。
ある日の午後8時。ビルの1室にポツンと照明が灯っているのを発見します。
迷わずその部屋に入ると、その時にニコッと笑顔。
相手も笑い返してくれて、すぐさま商談へ。
買ってくれたのはもちろん、その後も買ってくれる人を紹介してくれる間柄に。
最初の3秒で売れるかどうかが決まる、それを会得した日でした。
念願の会社設立から突然の閉店へ
10年ほど義兄が経営する会社に勤めた後、ソニー製品の販売店を作る話が舞い込みます。
これを受けて、株式会社コール金沢を設立します。ついに社長になったのです。
その中では、AIBO愛好会や映像研究会を創設し、顧客を創り、維持し、育てる、顧客の囲い込みのノウハウを修得。
また、5本柱の事業構築、官学民への販路拡大、良質な人脈の創造を充填方針として掲げ、順調に経営していました。
しかし、その裏には悩みもありました。
民間向けでは「売れる=即現金収入」がほとんどだったのですが、官学向けでは「売れる=現金が入るのは数ヶ月後」という場合がほとんど。
また、売れ筋商品は、原価が高いという悩みも。
常に資金繰りで頭を悩ませている状態が続いてしまいます。
そのような中で、ソニーが直販サイトのソニースタイルを開始することが決まり、ソニーはコールという販売形態から撤退することに。
石井さんは、店を閉める決断をしました。
閉店の原因を、石井さんは次のように語ります。
- 経営者としてビジョンが描けなかった
事業の未来、社員の将来を考えられず、資金繰りで頭がいっぱいになっていた
-
生意気、自信過剰、慢心、身の程知らずな性格
調子に乗ってしまい、周りが見えなくなってしまっていた - メーカーへの高い依存度
パソコン教室を作るなど、依存度を下げる努力もしていたが不十分だった
決算書が読めないなど、経営の核心部分もメーカーに依存していた
学びの機会提供と、伴走型支援の必要性がKCG設立の原動力に
店を閉めた石井さんは、取締役として北星産業へ。
そこでは複数店舗の統括手法を身につけると共に、様々な問題意識が芽生えます。
1つ目の問題は、社員研修の効果が薄いということ。
社員に学びを提供するものの、押し付けになってしまって効果が薄いということです。
その一方で逆のことも考えました。つまり、受けたくても受けられない人がいるのでは?ということ。
2つ目の問題は、地域に根ざしたコンサルタントが少ないということ。
東京から研修のコンサルタントとして中小企業診断士を呼んでいましたが、費用が高い上に真剣さが足りないと感じることも。
本気で会社のことを考えてくれる伴走型のコンサルタントが欲しいと考えました。
すなわち、コンサルタントの地産地消という考えです。
このころに、5年がかりで中小企業診断士の資格を取得。
芽生えた問題意識と中小企業診断士の知識や人脈を活かして、KCGを設立します。
人間万事塞翁が馬
社長になりたいという思いから、コール金沢の創業、閉店。そして、経営コンサルタントとしての復活。
苦しい時もあるが、良い時もある。まさに、「人間万事塞翁が馬」の人生を歩んできた石井さん。
参加者に向けて、檄を飛ばしました。
やって失敗したとしても、やらなかったことを後悔するよりいい!
思い描いたことは、必ず実現する。
あなたの夢をあきらめないで!
「これまで」の、そして「これから」のKCGを語る上で欠かせない「思い」を語っていただきました。
これからもKCGは、この思いを胸に進化していきます!
懇親会
セミナーの後には懇親会を「市の蔵」で行いました。
ここでも「全員が講師 全員が受講生」となる会話が随所で行われ、KCGの精神を実現しています。
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