2026年8月度KCG定例セミナー「事業や仕事、みらいについて考えよう ~レゴ®ブロックを活用したワークショップ~」 中小企業診断士 小泉保裕

2026年8月のKCG定例セミナーの講師は、中小企業診断士の小泉 保裕(こいずみ やすひろ)さんです。

会場のドアを開けると、会議室のテーブルいっぱいに色とりどりのブロックが広げられ、どこか懐かしくもワクワクするような高揚感が出迎えてくれました。
中小企業診断士として企業の現場に伴走し続ける小泉さんが届けてくれたのは、知識を一方的にインプットする講義ではなく、参加者全員が手を動かし、自らの内面や未来を描き出す体験型のワークショップでした。
終始穏やかな笑顔を絶やさず、初参加の方も常連メンバーも一瞬で打ち解けさせてしまう小泉さんの温かなファシリテーション。
童心に帰りながらも、ビジネスや人生の核心に触れる深い気づきに満ちあふれたセミナーの様子をご紹介します。

 

ブロックがひらく対話の扉――全員が主役になるワークショップ

中小企業診断士として、企業の成長や課題解決に真摯に向き合い続けている小泉さん。
その多彩な活動の中でも、近年特に情熱を注いでいるのが、ブロックを活用した対話型ワークショップを通じた組織開発やチームビルディングの支援です。
大人が机を囲み、指先を動かして立体的な造形を組み立てていく――一見すると無心な遊びのようにも映るこの取り組みには、実は組織のコミュニケーションを劇的に変える深い仕掛けが凝縮されています。

ビジネスの現場において、私たちは常に論理的な説明や正確な言語化を求められがちです。
しかし、頭の中にある曖昧な直感や感情、将来への想いなどは、言葉だけで完全に表現しようとすると途端に難しくなってしまうもの。
また、通常の会議では発言力のある一部の意見ばかりが通り、全員の想いが均等に反映されないという課題もしばしば生じます。
いわゆる「20対80の法則」のように、一部の人だけが議論を主導してしまう構造です。

小泉さんが実践するワークショップでは、参加者全員が同じ時間の中で手を動かし、完成した作品を通じて想いを語り合います。
言葉にしにくかった抽象的なイメージが、ブロックという目に見える形をとることで輪郭を帯び、他者との共有が驚くほどスムーズになっていきます。
何より印象的なのは、小泉さんのファシリテーターとしての佇まい。
作品に優劣をつけたり正解を求めたりすることは決してせず、「その形にはどんな想いが込められているのですか」「このパーツは何を表現しているのでしょう」と、参加者自身の内側にある物語へ優しく光を当てていきます。
そこには、一人ひとりの可能性を心から信じ、尊重する小泉さんの温かな眼差しが常に息づいています。

 

ロジックだけでは動かない現場――葛藤の中で出会った「手の思考」

中小企業診断士として数多くの企業現場と深く向き合い、経営改善や事業戦略の策定に伴走してきた小泉さんですが、その歩みは決して順風満帆なことばかりではありませんでした。
企業の内部に深く入り込めば入り込むほど痛感したのは、論理や正論だけでは決して動かない組織の難しさ、そして人と人との関係性の複雑さでした。

どれほど精緻に市場を分析し、緻密な経営戦略を描き、客観的に正しい事業計画を提示したとしても、現場で働く人々の心が共鳴しなければ、真の変革は起こりません。
経営者と従業員の間に横たわる見えない温度差や、部署間に蔓延する本音のすれ違い。
理屈で説得しようとすればするほど相手の心が閉ざされてしまう現実に直面し、小泉さんは深く葛藤したといいます。
「本当に必要なのは、机上の空論や上からの指示を押し付けることではなく、現場の人々が自発的に想いを語り、互いに共感し合える土壌を作ることではないか」――その強い問題意識が、新たな対話手法を探求する大きな契機となりました。

そんな模索の最中で出会ったのが、手と脳の深いつながりを生かして無意識の思考を具現化するブロックを用いたメソッド。
人間は手先を動かしているとき、脳の広範囲が刺激され、論理的な思考だけでは辿り着けない潜在的な想いや直感にアクセスしやすくなります。
「言葉にする前にまず形を作ってみる」「手が勝手に作ってくれたものから意味を読み解く」という新鮮な体験に、小泉さん自身も強い衝撃を受けたといいます。
理屈を超えて人と人をつなぎ、組織の心理的安全性を根本から育む確かな道筋が、はっきりと見えた瞬間でした。

 

理論と実践を重ねて――組織に確かな変化を生む対話の設計

手法の底知れぬ可能性を確信した小泉さんは、それを単なる一時的なレクリエーションやアイスブレイクで終わらせないため、多角的な理論の探求と現場での実践をひたむきに重ねていきました。

手先を動かすことで深い思考を引き出す「コンストラクショニズム(構築主義)」をはじめ、自分自身も気づいていない自己の側面に他者との対話を通じて気づく「ジョハリの窓」、そして課題の難易度と本人のスキルのバランスを保ちながら没頭状態を生み出す「フロー理論」など、認知科学や心理学の知見がワークショップに落とし込まれています。
いきなり深いテーマを投げかけるのではなく、最初は誰もが簡単にできる小さなステップから始め、徐々に自己開示や未来のビジョンといった本質的な問いへと導いていく。
その無理のない綿密な設計があるからこそ、参加者は警戒心を解き、自然体で対話の深みへと入っていくことができます。

実際の企業現場への導入でも、成果が次々と生まれています。
ある企業の部門で実施した際には、普段は別々の業務に追われて業務連絡しか交わしていなかったメンバー同士が、作品を通じた対話によってお互いの大切にしている価値観や人柄を深く再認識。
ワークショップを境に職場の風通しは劇的に改善し、定例ミーティングでも活発な意見交換が自発的に行われるようになっていったそうです。
確かな理論に裏打ちされた安心感と、現場の感情に寄り添い続ける伴走姿勢。
その両輪が見事に噛み合っているからこそ、小泉さんの関わる場には確実な前進と変化がもたらされています。

 

童心と深層が交錯する時間――自らを描き、共感し合う空間

今回のKCGセミナーでも、小泉さんの真摯で温かな人柄と巧みなファシリテーションが遺憾なく発揮されました。
最初は少し硬い表情を浮かべていた参加者たちも、手元に配られたスターターキットのブロックに触れるうちに少しずつ表情がほころび、会場のあちこちから自然と笑い声や感嘆の声が上がり始めます。

セミナーが中盤に差し掛かると、参加者それぞれが自身の内面やこれからの歩みに深く向き合うテーマへと突入。
日常の業務から離れ、自分自身の根源的な価値観を問うような奥深いお題でした。
制限時間の中で夢中になって多種多様なブロックを組み立てる参加者たちの眼差しは真剣そのもの。
完成後の発表タイムでは、一人ひとりの個性と情熱が詰まった作品が次々と披露されました。
目標に向かって一歩ずつ階段を登っていくような力強い造形、周囲への感謝をカラフルなモチーフに見立てた温かな作品、組織の土台をどっしりと支える決意を表現した形など、言葉だけでは決して伝えきれない豊かな物語が会場を満たしていきます。
他者の作品を誰も否定せず、面白がり、共感し合う。
小泉さんが作り出した心理的安全性の高い空間の中で、参加者全員が自分自身の現在地と未来を前向きに見つめ直す貴重なひととき。

特に印象深かったのは、小泉さん自身が最後に披露してくれた作品と、そこに添えられた言葉でした。
丸いパーツを指差しながら「これは自分の頭の中にある知識や経験。皆さんのおかげで今、たくさん蓄えられている最中です。
将来はこれが少しずつ溢れて、人に還元できるようになっていければいいなと思っています」と語る小泉さん。
さらに透明なブロックで作られたアンテナを高く掲げ、「これからも色々なものを吸収し続けたい」と柔らかな笑顔を見せる姿に、講師としての飾らない謙虚さと、どこまでも学び続ける真摯な姿勢が凝縮されていました。

 

一人ひとりの可能性を照らし、未来を共に創る伴走者へ

「声の大きさや役職に関係なく、誰もが同じ熱量で対等に対話できる場をもっと広げていきたい」と小泉さんは静かに、しかし確かな熱を込めて語ります。

不確実性が高く、変化の激しい現代だからこそ、組織やコミュニティには、互いの違いを認め合い、本音で未来を語り合える安全な場所が必要です。
小泉さんが見据えているのは、対話の力によって一人ひとりが自らの可能性に気づき、互いを尊重し合いながらしなやかに前進できる組織や地域社会の姿。
中小企業診断士としての確かな経営的視座と、人の心を開き前向きな行動へと導く対話の技術。
その双方を携えながら、小泉さんはこれからも多くの企業や人々の歩みを温かく照らし、背中を押し続けていくことでしょう。

セミナー終了後の会場には、深い対話を分かち合った仲間同士の晴れやかな笑顔が広がっていました。
知識を得るだけでなく、自分自身を深く見つめ直し、一生モノの仲間と心を通わせることができる――それこそがKCG定例セミナーの最大の魅力です。
刺激的な学びと温かな出会いが待つこの場所へ、ぜひあなたも一度足を運んでみませんか。
次回もきっと、日常では味わえない素晴らしい気づきと感動があなたを待っています。

 

懇親会

今回もセミナー後に懇親会を開催しました。
その一幕をお伝えいたします。

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