10月のKCG定例セミナー講師は、モードアオキ服飾研究所の橋本久恵(はしもとひさえ)さんです。
橋本さんは洋裁師として服を作りながら、ユニバーサルファッションに関する事業を展開しています。
今回のセミナーでは、ファッションをずっと楽しむための取り組みや課題について語っていただきました。
ファッションの重要性
今回の定例セミナーは「緑のもの」がドレスコードでした。
緑と言えば、オセロ。
橋本さんは、お子さんが熱中している競技オセロを盛り上げるため、緑・白・黒を基調としたオセロファッションを取り入れています。
というのも、ファッションが業界を盛り上げる一端を担った例も少なくないからです。
例えば、卓球。最近の卓球ウェアは、色も個性的になりファッショナブルです。
近年の卓球の盛り上がりは、プレイヤーの活躍の影響も大きいですが、ファッションが担った影響も無視できません。
ファッションは自己表現。
そんなファッションでワクワクする人を増やしたい、というのが橋本さんの想いです。
洋服はどうやってできている?
橋本さんは洋裁師として25年のキャリアがあり、服飾専門学校で講師も務めています。
橋本さんが服飾専門学校で勤めている授業では、洋服がどうやってできているのかということも教えています。
洋服は、布からできています。
布は、織物、編物、不織布の3つの種類があります。
織物と編物は、糸からできています。
糸は、繊維(素材)からできています。
洋服のデザインは、洋服自体のデザイン(シルエットや襟の形など)が思い浮かびます。
しかし、繊維や糸のデザインすることも服のデザインに含まれるのだそう。
洋服を作るにはデザインだけでも多岐にわたり、さらにそのデザインしたものを製造することも必要になります。
服を作るためのコストは適切でしょうか。ゴミは作られていないでしょうか。
映画「ザ・トゥルー・コスト」では、服を作るためのコストや背景について紹介されています。
服ができるまでのコストについて、考えてみましょう。
モードアオキはファッションを楽しむ人を応援
橋本さんのモードアオキでは、次の3つの仕事を主にしています。
- 仕立てる 完全オーダーメイド
- 直す 寸法直しなど
- 仕立て直す 衣服を着やすいようにリメイク(昨年6月から)
仕立ての仕事では、若いデザイナーの依頼を受けて服を作っています。
彼らはボロボロになってもカッコイイ服をつくりたがっていて、橋本さんはその思いを技術で支えたいと願っています。
ファッションを楽しむ人を増やしたいという思いがあるからです。
でも、最も力を入れたいのは「仕立て直す」仕事。具体的に、どう仕立て直すのでしょうか。
ユニバーサルファッションでファッションを楽しみ続けられるように
病気、怪我、障害、要介護… そうなってしまうと、既存の服が着にくくなってしまいます。
ギブスなどでサイズが合わなくなってしまったり、手先の不自由さでボタンが留められなくなってしまったり。
そんな風になってしまっても、今までに近いファッションを楽しめるようにするのが、ユニバーサルファッション。
既製服の見た目を変えず、着脱を容易にすることを目指しています。
具体的には、次のような例があります。
- シャツのボタンをマジックテープで留められるようにして、着脱を簡易化する
- シャツの脇部分(横部分)にファスナーを取り付けて開口部を大きくし、被りやすくする
- 被りの服にボタンを付けて、前開きにする
などなど。
ファッションが好きな人が、ずっとファッションを楽しみ続けられるようになるのがユニバーサルファッションなのです。
ユニバーサルファッションを始めたきっかけ
橋本さんがユニバーサルファッションをしようとしたきっかけは2つありました。
1つ目のきっかけは、父の介護経験。
脳梗塞で動けなくなり、寝たきりになってしまいました。
デイケアなどのお出かけでは、少しおしゃれをしたいと思っても、着られる服がありません。
パジャマしか着ることができず、歯がゆい思いをしたことが1つ目のきっかけになりました。
2つ目のきっかけは、夫が病院の売店経営をしていること。
そこで目の当たりにした介護用品のバリエーションの少なさでした。
男ならチェック、女なら花柄がほとんど。
病気になったら、おしゃれはできないのか?そんな思いをもったことが2つ目のきっかけになりました。
「笑う門には服着たる」
ファッションでワクワクする人を増やし、そのワクワクをずっと続けられるようなユニバーサルファッションを提供する。
橋本さんは、そのための事業を続けています。
事業を継続できるように弟子を取りたいとのことなので、興味がある方は問い合わせてみてください。
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