2024年9月のKCG定例セミナー講師は、合同会社矢蔵谷セッションズ代表の岡野利明(おかの としあき)さんです。
岡野さんは30年間の出版社勤務を経て、現在は社員研修講師、ビジネスコーチ、ライフコーチとして活躍しています。
また、FM かほく 78.7の「会議カアップ」のパーソナリティも務めるなど、多方面で活躍されています。
今回のセミナーでは、岡野さんの豊富な経験と知識を基に、効率的で納得感の高い会議運営の秘訣を紹介していただきました。
会議の課題の原点は40年前の会議
岡野さんは、自身の会議進行の原点が1984年9月11日、28歳の時に東京半蔵門のダイヤモンドホテルで行った出版社の販売会議にあると振り返ります。
当時はホワイトボードもない時代で、黒板を使用していました。
その頃は、「会議の効率」などには無頓着で、会議の中で話される内容に夢中になっていました。
しかし、ファシリテーションについて学んだ後、「もっと効率的な会議や良い仕事ができたのでは」と深い反省と後悔を感じたといいます。
ハーバードビジネスレビューの調査によると、会議参加者の90%が他のことを考えており、50%が会議を生産的でないと感じているそうです。
また、全会議の25%が議題と無関係な話題に費やされ、リーダーの75%は正式な会議運営訓練を受けていないという現状があります。
ファシリテーターとして効果的な会議運営をするポイント
岡野さんは、効果的な会議運営のためのポイントとして、環境設定、会議の構造化、ツールの活用、ルール設定、議論の促進を挙げています。
適切な座席配置やアイスブレイクの導入、名札の使用などの環境設定は、参加者の心理的距離を縮め、活発な議論を促進します。
また、アジェンダ(会議計画書)の作成や明確な目的・目標の設定、役割分担(ファシリテーター、書記、タイムキーパーなど)を行うことで、
会議の構造化が図れます。
ホワイトボードの効果的な使用や、付箋・A4/A5用紙の活用といったツールの使用も重要です。
さらに、発言時間の制限や決定方法の事前合意などのルール設定、提案のデメリットやリスクの検討、
発言の要約とその内容の確認といった議論の促進技術も、会議の質を高める上で欠かせません。
参加者の心得
効果的な会議には、参加者の姿勢も重要です。
岡野さんは、以下のようなことが参加者の心得として重要だと挙げています。
- 自分の意見を絶対視せず、他者の意見を尊重し否定しないこと、
- 相手の立場や背景に関心を持つこと
- 積極的に聞いていることを示すこと
- 「私は〜」という主語で意見を述べること
「権力格差」と会議の関係
岡野さんは、会議の効果が組織の文化、特に「権力格差」に大きく影響されることを指摘しています。
「権力格差」とは、「上司と部下など、自分より権力がある人との関係を、力の弱い人がどのように捉えるのか。」ということ。
権力格差が大きければ階層を重視する文化、権力格差が小さければ平等を重視する文化、ということになります。
権力格差が大きい組織では意見を言うのを躊躇する傾向があり、小さい組織では自由な発言が促進されますが、意思決定が遅れる可能性があるとのことです。
このように、組織の特性を理解した上で、適切な会議運営方法を選択・設計することが重要です。
まとめ
岡野さんの30年にわたる出版社での経験と、その後のファシリテーション学習から得た知見は、効果的な会議運営の重要性を浮き彫りにしています。
適切なファシリテーションスキルを身につけ、組織文化を考慮した会議運営を行うことで、
より効率的で納得感の高い意思決定プロセスを実現できることを示していただきました。
このセミナーを通じて、参加者の皆さんは効率的で生産的な会議運営のコツを学び、
自社の会議を改善するヒントを得ることができたのではないでしょうか。
できる小さな改善から始めて、大きな変化を生み出す。岡野さんの提案する会議改革の第一歩です。
岡野さんの豊富な経験と実践的なアドバイスは、組織における会議改革に役立つのではないでしょうか。
今回紹介したものが、岡野さんが習得・実践しているファシリテーションの全てではありません。
興味のある方は、ぜひ岡野さんに聞いてみてはいかがでしょうか。
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